7月になるとイタリア中が少しザワザワしてきます。それはもう直ぐ始まるバカンスへと心が持っていかれ始めるからです。当然仕事どころではありません。会社勤めの方達は少なくて2週間~3週間、ワインやオリーブオイル等の農業ですと2ヶ月はお休みとなります。今回はそんなイタリアのバカンスについてご紹介します。
バカンスのシーズン
私たちはじっくり観光するのが好きなので、町を周りやすい9月にバカンスを取っていました。7月頃からローマの人が少しずつ減っていく様子を感じながら、もう直ぐバカンス突入だという雰囲気をじっくり味わいながら楽しみにしていたものです。
子供たちにとっては夏休み
6月2週目くらいには子供たちの学校が終わってしまうので、広場に集まる子供たちの話し声が増えます。イタリアの風物詩には、夜中になるとどこかの家から「いい加減に子供を寝かせろー」という叫び声で子供たちがようやく落ち着く、というものがあります。子供たちにとっては朝から晩まで遊ぶ夏休みの時期です。
7月に入ると少しずつ静かになっていき、8月にもなると人の気配もなく、マンションの声も響き渡るほどになります。
観光客しかいない
私が住んでいた場所は市場の近所だったのですが、この時期になると火曜と木曜の早朝におこなわれる車のクラクション合戦もなくなり活気がパタッと消えてしまいます。当然、あれだけ煩かった交通量も減り、まるでローマには私達とよく鳴く鳥しかいないような錯覚さえしてしまいます。
そう、この時期のローマは観光客しかいません。
イタリア人はどこへ行ったの?
イタリア人のバカンスの過ごし方はほぼ2パターンで、海か別荘です。もちろん私達のようにどこかへ旅行したいという人もいますが、バカンスはのんびり過ごしたい、というのが一般的なイタリア人の考えのようです。ちなみに旅行はイースターなどのちょっとした連休を使っていく人が多いです。
別荘を持っている人もいる
日本人にとっては別荘なんてどこのセレブ?というほど、身近とは言い難いものですが、イタリアではちょっと裕福な家ですと2、3軒の別荘を持っている人もいます。過ごす時間も長いので、ホテルよりずっと経済的という考え方です。文化の違いですね
心からバカンスを感じる
そしてその別荘で何をして過ごしているかというと、テレビを見ながら、まったりと過ごしているだけなんです。それならどうしてわざわざ時間を掛けて遠くまで行き、また、2つの家を維持する労力まで使うのかというと、イタリア人にとって大切なことは環境を変えて心からバカンスを感じることなんですよね。なかなか日本人にはわかり辛いかもしれませんが、それはとても大切なんですよ。
イタリアでの海の過ごし方
初めて友人に海へ行こうと誘われた時、そのカルチャーショックはかなり大きかったです。私はなるべく日焼けをしないようにとSPF高めの日焼け止めを塗った上に、これでもかという厚化粧で向かいましたが、イタリア人は皆すっぴん。「なんで化粧してきたの?」と聞かれ、ちょっと気恥ずかしい思いをしたものです。
海は泳ぐところではない
そして、海へ行くのだから沢山遊ぶぞー!と泳ぐ気満々でいたのですが、着いて早々皆パタパタとバスタオルを広げ始めるではないですか。おや?と眺めていると、サングラスを掛け、皆寝始めます。そうなのです。イタリアで「海」というのは泳ぐところではないのです。
あの海の水はあくまで日焼けで火照った体を冷やし、更に日焼けを仰ぐためのもの。泳ぎ疲れの心地よい疲労感とは全く縁遠い過ごし方なのです。イタリアの海岸は、沢山のビーチパラソルが並ぶようなリゾートシステムになっているところと、何もない庶民的なところがあり、それぞれ雰囲気が違うので楽しんでみるのもいいかなと思います。
バカンス期間の注意とお得情報
バカンス期間は、イタリア人だけではなく、各欧州諸国からイタリアへ来る人も多いので、海岸付近の町(アマルフィなどナポリ近郊、シチリア、サルデーニャ、プーリア)の宿は予約が難しく、また高騰しています。ホテル側も長期滞在客を優遇しておりますので、旅行で来ようと考えている方はご注意ください。
角度を変えて楽しんでみては?
一方で、長期滞在が可能な方にとっては、こういったリゾート地の場合、1週間、2週間パックで場所によっては3食付でかなりお得に泊まれることがあります。また、ホテル内で毎日同じ人達と過ごすことで良い出会いがあることもあります。
イタリアというと遺跡や美術館巡りが有名ですが、こうしたちょっと変わったイタリアの過ごし方もお奨めしたいところです。
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