サッカーで学んだ日本人が海外でリーダーシップを発揮する方法(後編)

後編では、私がサッカーチームのキャプテンを務めた時に心掛けていたことを中心に記載します。日本人がリーダーシップを発揮する時に役立つヒントをご紹介させて頂きます。

チームの責任は自分がとる


私が外国人サッカーチームでキャプテンとしてプレーした際に心掛けていたことは 「何かあったら責任は俺がとる」というスタンスです。

 人のせいにしない

多国籍のチームですから、試合が荒れてしまうことがあります。一人、二人の選手の身勝手な行動ではありますが、その尻拭いをするのもチームキャプテンの役目でもありました。当然、私は試合中に相手が私に剥き出してくるラフプレーに対して怒ることもありません。「戦犯は誰だ」と犯人探しに走るのでなく、「まず自分の責任」として、どうしてこうなったのかを振り返る必要があるのです。

 下準備はしっかりする

私の経験上、多国籍のチームを上手く機能させるためには、以下の準備が必要だと感じました。
・メンバー個々の性格を把握する
・臨機応変な対応力
・No2は、ある程度意見を言ってくる人をおく
・新しいメンバーを快く迎え入れる

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性格や行動を把握(予測)する


外国人は時間を守らない人が多いです。そのせいで試合が組めなくなったりもします。これもトラブルの一つにつながるのです。そうならないように、彼らの性格を把握しながらスケジュールを組んでいきます。

 時間の感覚は国により違う

性格や行動を予想していないと、キックオフが11時として、集合が10時半と言うと大抵 11時過ぎとか 11時半に集まります。
そうならないために、1時間前とかの呼びかけをして、絶対遅れて来ないという選手らには、実際の集合と試合開始時間を個別に連絡します。

 柔軟性が大切

フォーメーションも私が決めていました。個々に利き足と、どのポジションなら出来るかなどを個別に聞きます。
大抵 オフェンスをやりたい選手が多いので、私がディフェンスなど手薄な所に入ります。あとはディフェンスをやってくれた選手は後半やりたいポジションを任せたりと臨機応変にその場で対応します。
私は、以前試合前日などにフォーメーションの紙を書いていましたが、当日 必ず狂います。それゆえ、紙で書くのは途中でやめました。
日本の感覚のように 「事前準備」をしっかりすれば大丈夫ということはほとんどなく、当日になってあっさり壊れることが多々あります。そんな時もあわてずに柔軟に対応する必要があります。

 上手くいかないときこそ問われる資質

むしろリーダーシップの発揮とは、上手くいかない状況に直面したそこから始まるのではないでしょうか。他者の助言を仰ぐのでは、チームに迷いが生じるので、トラブルがあれば基本的に私がすべて決めるように心掛けていました。

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側近には、イエスマンを置かない

イエスマン(反論がない人)を副キャプテンに置くよりも、ある程度反対の意見を持っており、実務(ここではゲームを仕切るゲームキャプテン)の中心人物を側近に置くことがいいと感じます。助言をもらい、気づくことが多いからです。
そこで意見が割れれば、「私の判断で」ということで素早く判断を下します。

 自分のポジション

私がプレーするポジションは 比較的誰でもプレーできるポジションを選ぶようにしています。
初心者にいきなり、足元の技術が要求される中盤の真ん中は任せられず、出来る限り簡単(ボール処理がそこまで難しくない)なポジションをさせます。
私は、そうした簡単なポジションにメンバーとして入り、急なポジション変更となった際は私のポジションをメンバーに譲ります。あくまで皆で楽しくプレーするのが根底にあるので、私がポジションを譲ってある選手が楽しくプレーしてくれればそれでいいのです。

 

新しいメンバーを快く迎えいれる


外国人チームでは、毎週のように新しい選手が入ってきます。試合では、「僕の友人も参加していいか?」といった連絡もきます。公式戦ではないので、特に制限もありません。新しいメンバーが参加する際は、真っ先に私から挨拶にいきます。「来てくれてありがとう」と言って握手をします。

 挨拶は自分から

日本では、ボスみたいな人がいたら、新しく入る人は、真っ先にボスに向かって挨拶へ行きます。しかしこのチームでは逆で、キャプテンの私が真っ先に新しくはいる人へあいさつに行きます。

 不安を取り除く配慮を行う

楽しくサッカーをすることが大事と述べましたが、試合ではやはり勝ちたいものです。できたら、選手らもいいプレーがしたい、ゴールを決めたい。いろいろな思いがあります。
新しく加入した選手は、出来る限り、彼の近くに、その選手の友人を配置して「一人」という不安や心配をなくすようにします。
ある試合で、リベリア人4人がやってきました。チームメイトのリベリア人が、4人も選手を連れて来てくれた時です。彼らは「どこでもやるよ」といったスタンスでした。私は、その4人をディフェンシブミッドフィールダー(中盤の底)に2名配置して、センターバック(ディフェンスの真ん中)に2名配置しました。
つまり、4人を守備的な位置に置き、意思の疎通が母国語でできるメリットを生かそうと考えました。その試合は、結果的に4−2だかのスコアで勝ちました。

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日本人のリーダーシップ

私が外国人サッカーチームで心掛けてきたことは、外国人と業務するときも、同様に活かすことができるリーダーシップのやり方だと思います。
海外では日本では起こるはずのなかったトラブルがよく起こりますが、その状況の中で冷静に全体を見渡して解決策を思いつけるのは、日本人ならではの特徴なのではないでしょうか。

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