サッカーで学んだ日本人が海外でリーダーシップを発揮する方法(前編)

私はミャンマーで約5年間駐在員として生活してきましたが、現地での生活では、日本人コミュニティ、ミャンマー人コミュニティ(会社コミュニティ)以外に第三コミュニティとの関わりを持つことをオススメします。第三コミュニティとは、様々な国の人と交流するということを指します。

せっかくの海外駐在ですから、海外からやってきた多くの人たちともっと関わりを持つべきだと思うのです。今回は、前編・後編に別けて、様々な国の人と交流して分かった日本人が世界でリーダーになる為に必要だと感じことをご紹介します。

はじめは海外コミュニティ探し

初めて私が踏み入れたコミュニティは、フランス人コミュニティでした。パーティーに参加すると欧米人ばかり。
「英語で会話が出来る!これは語学力がつく」と当初は喜んだものです。しかし2回目のパーティーに行くと、フランス人はフランス人同士で固まる傾向が強いと感じました。皆 酒を飲み、タバコをふかし、話はするけど趣味がお互い違い、話もギクシャク・・・結局、私はこのコミュニティに二度と行かなくなりました。

 ランニングのイベントもダメ!

次に訪れたのが、毎週土曜に外国人らでヤンゴン市内を走るイベントです。特に順位は関係なく、ヤンゴン市内を走りまくるイベントで、マラソン終了後にビールで乾杯をします。土砂降りの日も走りました。ここでも私は価値観の違いに悩みました。英語で会話をするのですが、ここにいる人たちの大半がバックパッカーでした。
私たちが、比較的良い質のレストランで食事をしようとすると、彼らは「高い! ローカル(屋台)でいいじゃないか! 100円もしないぞ! ローカル万歳!」といった、感じで、彼らと私の持っている感覚に最初からズレが生じていました。

サッカーで学んだ日本人が海外でリーダーシップを発揮する方法(後編)

2017.07.07

転機となったサッカーチーム

そんな時に、一人のアメリカ人女性と知り合い、彼女の紹介で、インターナショナルスクールの小さなグラウンドを使って練習している外国人サッカーチームに加入しました。私の、外国人に対する考え方、抵抗感をなくすといったことはこの環境で培われたといっても過言じゃありません。ミャンマーへの赴任以来、日本人チームでしばらくプレーしていましたが、途中からこの外国人チームでプレーする機会が増えました。

 ささやかな喜び

まずチームに入ると、韓国系アメリカ人がキャプテンのような風貌で私を迎えてくれました。
「はじめまして。 ようこそ インターナショナルスクールへ」
このチームを紹介してくれた人もカリフォルニア出身のアメリカ人でした。私は子供の頃からアメリカ大好きでしたので、ミャンマーでこうしてアメリカ人と触れ合うことが出来るだけでも私にとっては喜びでした。

外国人とのコミュニケーションは出身国ではなく人で判断する

2017.07.20

富裕層はやっぱり違う

このチームには自国のミャンマー人もいました。彼らは比較的裕福な家庭で育った人たちです。その為、今まで見て来たミャンマー人と雰囲気が違うのです。その雰囲気とは、まず「日本人を特別視しない」という点です。彼らは高校、大学を海外(アメリカ、イギリス)の学校で卒業し、海外旅行や出張なども多く、国際感覚が染み付いているのです。

 ポイ捨てなんてしない

もう一つは、マナーが備わっているということです。ミャンマー人で教育を受けていない人は、簡単にポイ捨てをします。低所得者層に多いのですが、”キンマー”という一種の噛みタバコを噛みます。口に含むと口の中が真っ赤になります。彼らはそれを地面に吐き捨てます。初めて見たときは、口から血を吐いているのかと思ったほどです。
ミャンマーの街中を歩いていると茶色の汚れが道端にありますが、それはキンマーの吐いた後です。勿論、彼らはキンマーなどは噛みませんし、低層の人たちが行なっているような、「(日本人から見て)モラルが低い」と感じてしまう行為は一切しません。

 多国籍チーム

こうした品のあるミャンマー人(国際感覚が備わったミャンマー人)らに加え、イギリス、イタリア、ドイツ、メキシコ、タイ、オーストラリア、ニュージーランド、エジプト、ブラジル、リベリアなど、多国籍なチームでした。

国民的スポーツ!コロンビアにおけるサッカー

2018.04.15

徐々にチームの中心へ

私はチームでプレーしていくうちに、どんどんとチームの中心になっていきました。中心になっていきたいという気持ちが強かったかもしれません。

 ニューヨークの友人からの助言

駐在期間中に旅行でニューヨークを訪れたときのことです。ニューヨーク在住20年の日本人女性の方と食事をしたとき、ミャンマーでの業務の愚痴をこぼしました。
「ミャンマーではストレスがかかる」といった発言をしました。すると、「あなたそんな弱音吐いていたらこの国じゃやっていけないよ。将来アメリカに行きたいんじゃないのかい?ニューヨークなんてストレスばっかりだぞ」と叱咤されました。

 リーダーシップの訓練

そこでミャンマーに戻り、チームの練習に参加をしたときにこう考えました。「この環境で、外国人と関わるのは苦手としてチームメンバーから距離を置いたら、海外では到底やっていけない。だけども、ここで存在感を出して、彼らが『コイツどれだけタフなんだ』と一目置かれるようになれば、海外でやっていける確率が高くなる!」
この多国籍な中では、発言することで自身のアイデンティティを表現できるのです。日本人が海外でフィットしない原因の一つが語学力ですが、文法がわかっていても、発言をしなければどんどんと置いていかれます。
アメリカ人もイギリス人も容赦なく発言をするし、他の国の人もネイティブのように英語を自由に操ります。

日本の大学とアメリカの大学の授業の違い

2017.06.12

活きた英語を学べる最高の環境

以前、サッカーの試合前にJasperというアメリカ人がまだ来ていないといった時の会話です。
私が”How’s Jasper ?” (Jasperはどうした?)と聞くと別のアメリカ人が”He’s MIA”と答えました。隣にいたイタリア人は、わかっていたと思うのですが敢えて“MIA ?  Myanmar International Airways ?”とジョークで返していました。
この時の”MIA”は”Missing in action(連絡がない)”の略でした。こうした言葉は日本では学べないです。

 I’m Keen???

別のシーンですが、私がサッカーの試合を企画した時に参加メンバーを確認したときです。フェイスブックのグループでの連絡をとっていたので、参加表明のコメントが面白いのです。
“Count me(俺も数えてくれ)” “I’m in(参加します)” “in(行くよ!)” “I can’t make it(無理!)” “I’m out of town sorry(その時ヤンゴンにいない。ごめん)”などという言葉が飛び交います。
その中で、イギリス人が”I’m Keen”という書き込みをしました。 彼はマンチェスターユナイテッドの大ファンでした。ユナイテッドにはかつて ロイ・キーンというアイルランド出身の選手が中盤のレギュラーとしてプレーしていました。つまり、彼は「俺は当日、ロイキーンになるぜ」という意味で参加表明をしたのだと思い、私はその時、こう返しました。「ロイキーンは古い。今はスコールズではないのか?」
すると、アメリカ人がすぐにフォローをいれてくれました。「Keenは参加するという意味でいいんだぞ」と。
Keen という言葉を、学校では学ばなければ、使うことも滅多にありません。だけども、こうした生の英語を実践出来る場として、とても良い環境に出会えたと思いました。

スリランカでのティータイムを楽しもう!

2018.04.21

日本人の立ち位置、どうあるべきか

ある日の練習のこと、インターナショナルスクールでスタッフとして働くチームメイトが「これから僕は帰らないといけないので、今日誰が来ていたかこの紙に書いてくれ。少し僕が書いてあるから後を頼むよ」
その時私は、何も不満を言わず了承しました。ですが、周囲を見るとマナーのいいイタリア人、イギリス人、ミャンマー人もいました。

 日本人は信頼されやすい?

日本人は良い意味では「信頼されている」悪くいうと「利用しやすい」ということかと解釈しました。(勿論この後に関係に亀裂が生じることなどありませんでしたが)
この信頼というところがわかりやすい形で現れたことがあります。外国人チームが初めて対外試合をした時です。キャプテンマークを巻いたのは私でした。その後、日本人チームと試合をした時も、中国人チームと試合をした時も、ミャンマー人チームと試合をしたときも、ほとんどの試合で私はキャプテンマークを巻きました。私が一番上手い選手だったことはなく、もし上手い選手順にメンバーを決めていったら、私はスタメン落ちをしています。

 調整役も重要

正直なところ私がキャプテンを務めた理由はよく分かりませんが、おそらく私がキャプテンになった理由は調和がとれることだったと思います。チーム内には国籍の異なる個性の強いメンバーばかりだったので、誰かが調整しなければぐちゃぐちゃになりかねませんでした。もちろん、ただの調整役ではダメなのですが、日本人の持つ調整力は国籍の異なるメンバーをまとめる上で非常に役立つものだと感じました。

後編では、日本人が外国人を組織していく上で何が大切か、私の経験とともに記述していきます。

中国の食品の安全性と日本では考えられない食材

2017.07.05
   

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