インドネシア在住です。うちには、9歳、6歳、3歳の、3人の子供がいます。ジャワ島ではない地方都市に住んでいるので大都市と違って選択肢が限られており、子供を就学させるにあたって驚いたり戸惑うこともしばしばでした。今回は、インドネシアと日本の教育の違いについて紹介したいと思います。
インドネシアの学校制度
インドネシアの学校制は、日本と同じく小学校が6年間、中学校が3年間、高校が3年間です。小学校と中学校の9年間が基礎教育となっていますが、小学校の就学率が98%、中学校が86%と、まだまだ100%には至っていません。特に地方では就学率が低いようです。また、多宗教国家であるインドネシアには、教育文化省が所管する一般の学校のほかに、宗教省が所管するイスラム学校があります。
都市部でブームとなっている私立学校
私立の学校はというと、ここ最近の教育ブームで多くの学校が新設され、特に都市部ではさまざまな学校があります。インドネシアの保護者の多くは授業料が安い公立の学校を希望しますが、費用が高くても教師や施設の質がよい私立の学校を選ぶ保護者が増えてきていることが背景にあります。
いろいろな特徴を持つ私立学校
では、私立の学校にはどういうものがあるかを見てみましょう。
①ナショナル
私立ですが、公立の小学校と同じカリキュラムを勉強する学校です。
②ナショナルプラス
公立校のカリキュラムに則ってインドネシア語の授業などもあるが、ナショナルよりも進んだ英語教育が行われる学校であり、英語教育に重点を置いているので留学を目指す生徒が多く通っています。
③インターナショナルスクール
インドネシア在住の外国籍の子どもを対象にした、独自のカリキュラムで授業を行う学校です。近年ではインドネシア人でも入学できるスクールも多いです。充実した英語教育が受けられますが、授業料はとても高額です。
④宗教系の学校
多くはヤヤサンと呼ばれる財団が運営しています。イスラム教やキリスト教、仏教の学校があり、公立校のカリキュラムの一般科目の他に、それぞれの宗教観に基づいた宗教科目を履修します。
英語教育に力をいれた幼稚園が増加
幼稚園は義務ではなく、地方では通わない子もけっこういます。一方で、ジャカルタなどの都市では早期教育や英語教育のブームが高まっています。入園料や授業料は高額ですが、日常会話がすべて英語でネイティブの英語教師がいるところもあれば、充実した設備を持っているところなど、インドネシアの幼稚園は実に様々です。
小中学生は午前中で授業が終了!?
インドネシアに住み始めてまず驚いたことは、小中学生の帰りが早いことです。12時過ぎにはもう、子ども達が楽しそうに下校しています。午後は何をするんだろう…とよく思ったものです。後に、帰りが早いのは公立校の学校の子ども達だと言うことが分かりました。インドネシアには学校の校舎が少ないため、校舎不足を解消するために授業は半日の2部制であることが多く、昼食をはさんで授業をすることがほとんどないということでした。
私立は授業時間が長い
私立の学校は公立校よりも履修科目が多いことが多く、授業時間も長くなります。それらの全日制学校は、”Fullday School”と呼ばれています。我が家の長女も、迷った末に私立のイスラム系の学校に入学しました。イスラム系で全日制の、ナショナルプラスコースなので、”Islamic International Fullday School”という、長い名称がつけられています。(ナショナルプラスコースは、英語教育に重点を置いていることから、インターナショナルスクールと混同されることがあります。)
授業後さらに塾へ通う子どもが多い
朝7時から夕方16時半まで学校なので、学校に居る時間がずいぶん長く感じられますが、放課後さらに塾に行く子も多く、子ども達も送り迎えをする運転手さんも大変です(富裕層の子どもが多いため、専属運転手がいる子どもも多いのです)。
教科書は無償支給ではない
インドネシアでは、教科書は日本のように無償給与されるものではなく、公立校、私立校共に生徒が自費で購入します。学校によって使用する教科書は異なりますが、私立の学校のほうが科目数が多かったり、海外で出版された英語の教科書を使用したりするため、公立校よりも高額になります。長女の学校では1年間で5万円ほど教科書代にかかるので、教科書はもらうのが当たり前という感覚だった私には、なかなか大きな負担となっています…。
カリキュラムが変更されることもしばしば
また、インドネシアでは教育文化大臣が交代する際に、学校教育のカリキュラムが変更されることもしばしばであり、学校の教科の名称がガラリと変わってしまいびっくりしたこともありました。
ちょっと寂しいインドネシアの課外活動
インドネシアには、「プラムカ」という、屋外での活動を通してしつけや規律を習う、学校単位のボーイスカウトのようなカリキュラムがあります。音楽室やグラウンドが整備されている学校が少ないので、音楽や体育の時間は日本よりかなり少なく、父兄が参加しての学芸会や運動会もありません。
プールがないので水泳の授業もない
また、プールもないので、水泳の授業は1ヶ月に1度程度、学校外のプールで行われます。このため、泳げない子供も多いです。遠足もありますが、安全に歩ける場所が少ないので、歩いて移動することはほとんどなく、バス旅行という感じです。
何種類の服を買う必要があるのか・・・
インドネシアには、全国共通のデザインの制服があります。白いシャツに、小学生は赤いズボンまたはスカート、中学生は紺のズボンまたはスカート、高校生はグレーのズボンまたはスカート。これは、公立校でも私立校でも、着用が義務付けられています。それに加え、公立校も私立校も各学校独自の制服(バティックのことが多いです)があり、曜日ごとに日替わりで制服を着ています。
長女の学校の場合
長女の学校の場合、月曜と水曜が全国共通デザインの制服、火曜日と木曜が学校のオリジナルデザインのバテッィクと同じ色のスカート、そして金曜日は私服ですが上下白のムスリム服を着ることが義務付けられています。土曜日は学校指定のジャージ、プラムカがある日は全国共通のユニフォーム、と一体何種類の服を買わなければならないんだ!と入学当初は唖然としました。
もちろん宗教にちなんだ制服もある
また、宗教学校以外の学校では、さまざまな宗教の子どもが一緒に学ぶので、ムスリムの女の子は足首までのロングスカートに長袖のブラウスにスカーフ着用、その他の宗教の子は半袖シャツにひざ丈スカート、と同じ学校内でもさまざまな制服のバリエーションがあります。ちなみに、小中高生の靴下は白、靴は黒と全国共通で決められているようです。
近年のインドネシアは日本よりも教育熱心
日本以上に学歴社会であるインドネシアでは、近年ますます競争が激化してきているように感じています。小学校から年に4回の定期テストがあり、その順位が発表されたり、及第点に達しなかった生徒は放課後補習授業を受けたり、また、塾に行って遅くまで勉強する子ども大勢います。幼稚園も、遊ぶ場所というよりも勉強する場所、という性質が強く、毎日宿題があり、学期末には成績表が渡されます。
日本の子供よりも勉強ばかり・・・
日本の子どもは塾通いやお受験が大変そうだと思っていましたが、インドネシアの子どもたちも小さい頃からプレッシャーがあって、なかなか大変そうです。日本のようなクラブ活動やスポーツ少年団はほとんどないので、子供たちがスポーツや文化活動に接する機会が日本より圧倒的に少ないです。
母親としては勉強以外にも楽しんで欲しい!
勉強も大事だけれど、それ以外にも今しかできないことをたくさん楽しんでほしいんだけどなぁ…と思うのが親として正直な気持ちですが、インドネシアの学校の施設の充実度などを考えると、まだまだ難しそうです。
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