新天皇陛下即位に伴い、日本国民は4月27日から5月6日まで、なんと10日間という長~いゴールデンウイークという素晴らしい贈物を授かりました。さぞかし、日本ではみんなゆっくりと仕事を休んで、楽しい娯楽休暇を満喫しているのでしょうね?なんて思っていると、意外なニュースがフランスで紹介されました。「日本人は、休暇が嫌い?!」というテーマです。
摩訶不思議国、ニッポン
「10日の休みなんて最高じゃないか!」
一般のフランス人なら、この春日和に10日間も休みが取れるなんて最高!と思うのが当然。この日のために、旅行やらハイキングやら屋外スポーツ等々、数々の計画を立て、みんな浮き浮き気分なのがフランス人。休暇に対するこのエネルギーをもう少し仕事に費やしてくれれば、フランスは世界一の国になる!と、私はいつも確信しています・・・。と、フランス人のヴァカンス・フィーバーは少し横において、日本人の休暇嫌い?に焦点をおきましょう。
さて日本人にとっては、ありがた迷惑迷惑ともいえるこのゴールデンウィーク連続休暇。銀行・証券業務、病院、学校など公共サービスの完全ストップなど、戦後初めて長い連続休暇を強いられて困惑している日本人の様子を、フランスのマスコミが競い合うように紹介しました。休暇に苦手な日本人としてフォーカスしたのです。そもそも、年に30日間もある有給休暇をしっかり100%取得するフランス人。ヴァカンスのためだけに生きているともいっても過言ではないフランス人にとって、休暇に困り果てている日本人の様子は、何とも摩訶不思議で理解に苦しむようです。
どうして休暇なのに思い切り楽しまないの?
「10日間の休暇、日本全国パニック」、「連続休暇に困り果てる日本人」などという表題の数々のニュースが先週から続出しています。フランスのテレビ局が、ある路上インタビューに答える日本人サラリーマン男性を映像。
「・・・正直なところ、10日間も仕事ができないなんて、困るんですよね・・・。どうして過ごそうかと今から悩んでいるんです。・・・」また、別の主婦を紹介して、「主人が朝から晩まで家にいて、朝昼晩と食事の用意をしなければならないなんて、どうしようかと今から悩みの種です。・・・」または、若い女性のOL風は、「10日間のヴァカンスというと楽しそうですが、旅行したくても、どこも割高で人がいっぱい。かえって疲れに行くようなもの。仕事場にいる方が楽です 。・・・」などと答えているのが紹介されました。このようにフランスでは、休暇を嫌厭する日本人がテレビ・ニュースの話題にまで昇る裏には、日本人がいかによく働くかを強調しているわけですが、何となく私の意見では、「ヴァカンスを嫌う人種がこの世に存在するなんて、信じられない!」というのが、フランス人の本音のようです。だから「過労死」や「自殺」の多い国ニッポン、なるほど、というわけなのかもしれません。
私事ですが、これらのニュースに伴い私の友人たちなど、何かあるごとに「君は日本人でもフランスに住んでて良かったね」などと皮肉なのか慰めなのか、よく理解できないことを言ってきます。別の仕事仲間などは、「今年の夏休みは献上?」などと冗談メールを送ってきます。
休暇アレルギーの原因は?
「自分の時間」を尊重するヨーロッパ
さて、どうして日本人は休暇が苦手なのでしょうか?フランスに永く暮らしている日本人の立場から、私なりにこの理由をもう少し深く考えてみました。
フランス人に限らず、ヨーロッパ人は大抵「自分の時間」をとても大切にしています。誰からも束縛されない、自分の好きなことができる自由な時間。休暇はそのためにある、というのが根本的な考え方のような気がします。ですので、自分の時間のために、何かと工夫し計画をたて、そのための努力を惜しみません。では、彼らは休暇に何をするのかというと、もちろん旅行、ガーディニング、日曜大工というのが一般的ですが、時には、休暇を利用してアソシーエーションに参加する、何かのテーマを決めて研修する、朝から晩まで映画館巡りをする、などという面白いものもあります。しかしながら、あえて「何もしない」という人もいます。例えば、1日中海を眺めてぼんやりする。好きな時に食事して、好きな時間に寝る。友人と長―いディスカッションに明け暮れる、等々数え上げたらきりがありません。要するに個人としてのあり方が根本的にしっかりしているような気がするのです。これは、個人主義が基盤となっているせいかもしれませんが、そうではない日本人は、自分の好きなことをするというと、どこか何となく後ろめたいものを感じるのではないでしょうか?また、自由な時間にポンと放り出されて、果て何をしていいのかわからないという人もいます。「自由」が怖いのかもしれませんね。
日本は過労死の国…?
結局、今年の日本のゴールデンウィーク・パニックを機会に、「伝統的に、日本人は休暇嫌い。世界中で最も有給休暇を取らない「KAROSHI」の国」という結論に達したフランス人。有給休暇は、労働者の権利とするフランス人にとって、その権利を甘受しないどころか、国からもっと利用するように応援される国という日本は、やはりとても理解に苦しむようです。
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