水の都、ベネチアで感じる観光客受け入れの問題とは?京都でも同様の問題が起きている!

誰もが1度は訪ねてみたいと願う街、「水の都」ベネチア。もう百年もしないうちに、蜃気楼のように消えてしまうかもしれないベネチア。今のうちに観ておこうと思う人がいても不思議ではありません。しかし、このままツーリスト軍団の想いのままにしておくと、ベネチアは百年も待たずに消滅するのでは、と言われています。さて、その背景は・・・・?。

高まる反大型クルーズ船入港

日に何万人ものツーリストが押し寄せるベネチア。つい最近の日曜日、数千人の観光客を乗せた大型クルーズ船MSCオペラ号が、エンジン故障のためコントロールを失い、船着き場に突っ込み別の観光船と衝突、4人の軽傷者を出しました。そうでなくても、ベネチア住民の間から、大型クルーズ船の出入りのためにラグーンが侵食され、地盤沈下の原因となっていると、兼ねてから大型観光船入港反対の声が上がっていた矢先の事故です。

私は、ベネチアに少なくとも3度行きました。3度とも、訪れる度にこの街独特の美しさに溜息をついていました。が、大型クルーズ船が入港していたという記憶はありません。せいぜい、ヴァポレットと呼ばれている連絡船や、小型遊覧船が通っていたように思います。後は、ベネチアのシンボルともいえるゴンドラがゆらり、ゆらりと動いているぐらいでした。車のない、船のみの交通網、これがベネチアのベネチアにしかない絵なのです。ベネチアを訪ねたことのある方だとご存知だと思いますが、ベネチアはとても小さなこじんまりとした街です。そこへ全長約300メートル、数万トン以上はする大型クルーズ船が、街の中心地サン・マルコ広場すぐそばの岸まで入港するなんて、ちょっと想像しただけでもぞっとします。

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観光収入が大優先

ここで問題となるのは、ラグーン侵食など環境に常に左右されているか弱いベネチアに、何故、大型クルーズ船の入港を許可したのか?です。実際にいつから大型クルーズ船がベネチアに入港するようになったのかは定かではありませんが、イタリア政府は、2012年に1度、そして2017年にも大型クルーズ船の入港を禁止している、とのことです。しかしながら、観光収入が大幅な位置を占めているベネチア市では、そう簡単にこんな甘い汁を見逃すことはできません。大型クルーズ船が1度ベネチアの波止場に着くや、船から数千人という観光客が軍隊のごとくあふれだし、ドルやユーロを惜しみなく落として行ってくれます。大型クルーズ船を完全に拒否するのではなく、他のそれに取って替わる対策はないか、ベネチア市とイタリア政府の間で何度となく議論され、今日まで何とか時間稼ぎをしてきたのです。そして解決策がないことをお互いのせいにしている、というわけです。

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京都でも同じことが?

2年前、私はフランス人の友達数人と京都を旅行をしました。当然、京都の有名観光スポット、清水寺と金閣寺には何が何でも連れて行かなければと思いやってきたのですが、数十年前に訪れたのとは大違い。入場券を買い求めるだけで数百メートルの列ができていました。やっと中に入れたのはいいのですが、どこも人の渦。なかなか前に歩いて進めないほどでした。カメラのシャッター音と人のおしゃべりばかりがあちこちから聞こえ、想像していた静かな清水寺や金閣寺の絵はどこへいったのやら・・・でした。当然、友人たちはがっかり。案内した私は、恥ずかしいやら腹が立つやら、複雑な気持ちでした。この背景には、お隣りの中国からワンサと観光客が京都に押し寄せるてくることが原因なのですが、経済が豊かになり、外国へ自由に出られるようになった中国人のせいにするのはちょっと?と私には思えます。

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ツーリスト軍団を調整する

やっと手にした彼らの自由と豊かさを批判するのではなく、ツーリストを受け入れる側、つまり京都市または日本政府が、観光客受け入れの調整に努力する必要があるのではないでしょうか。京都やベネチアの美しさをいつまでも保全し、永遠の街として残したいならば、ツーリスト数を調整することは避けがたいことだと思います。それは、逆に彼らのためでもあり、私たちの世界遺産のためでもあるわけです。しかし、ここでもやはりいつも問題となる、「利益を求めるか、質を求めるか」の二者択一になるわけです。でも、質のない世界には利益はあり得ません。グローバリゼーション化が進む今、かつては限られた国の人たちだけの特権のようだったツーリズム。今後世界中の国々から観光のために訪れる人々へ、質の高い環境とサービスを提供していくためにも、心を鬼にしてツーリスト数を調整することは未来の観光産業の挑戦かもしれません。

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