日本ではすでに、桜前線が東北地方にまで進んだとのことですが、ここフランスもやっと春らしくなってきました。因みに、花見という日本の習慣、フランス人にはとてもエキゾチックな光景らしく、日本の桜前線の話題は、この時期になると必ずフランスでも紹介されています。
さて、今日の話題は「仏ストライキと生きる」、「今話題のIAって?」、「フランスから見た日本の移民問題」の3本です。
仏ストライキと生きる
先々週3月22日の「黒い木曜日」が済んで、ホッとする間もなく、今度は4月3日「黒い火曜日」を皮切りに、仏国鉄 (SNCF) が36日間の大型ストライキに突入しました。今回のストライキの原因は、国鉄の半民営化反対と鉄道員の特別待遇消滅へ反対するものです。鉄道員の特別待遇に関しては、日本にはないかもしれませんが、仏国鉄で働く公務員には、数々の特別待遇がついていて、これが政府の大きな重荷になっているのです。
ストライキ文化
ストライキというとフランス、フランスというとストライキというように、今ではストライキはフランス文化の一部のような感じです。最近では、「ストライキ (Grève) 」と「文化 (Culture) をかみ合わせて「グレヴィキュルチュ―ル « Gréviculture »」 いうと新しいフランス語ができたほど。
まさに、「ストライキとともに生きる」といっても過言ではありません。
SNCFストライキカレンダ―
さて、4月~6月にかけてフランスへ来る日本人の方々のために、SNCFストライキカレンダーを記載しておきます。というのも、36日間の大型ストライキというのは、連続ストライキではなく、3日おきの2日間飛び石ストライキなのです。その皮切りが4月3日でした。
4月:3日、4日、8日、9日、13日、14日、18日、19日、23日、24日、28日、29日
5月:3日、4日、8日、9日、13日、14日、18日、19日、23日、24日、28日、29日
6月:2日、3日、7日、8日、12日、13日、17日、18日、22日、23日、27日、28日
実際には、ストライキの始まる前日の夕方7時から、終了した翌日午前8時までがストライキ期間ですので、ご注意ください。合わせて、SNCFのこの勢いを利用して?Air Franceもほぼ同日にストライキを予定しています。これで、鉄道陸路と空路がアウトというわけです。
政府が勝つか、労組が勝つか?
メディアでは、この3カ月間のSNCFのストライキの結果がフランスを大きく変えるだろうと予想です。政府が勝つか、労組が勝つか、両者の我慢比べ。その結果によってフランスの未来は決まる、と言われています。政府と労組の間で右往左往させられているのが、フランス一般国民ですが、それでもストライキ賛成派と反対派は、今のところ半々というのが現状です。
そんな中で多くの市民は会社へ行かなければならないので、大変迷惑ですが、だからこそ効果があるのかもしれませんが。但し、最近では自宅待機でインターネットを通じて仕事をするケースが増えています。
とにかく、明けても暮れても、ほぼこれ1本だけが主題ニュースのような1週間でした。
今話題のIAって?
フランス語でIA とは、つまり « Intelligence Artificielle » のことで、日本語で「人工知能」のこと。さて、このIA産業が今、フランスで話題の的となっています。ちなみにフランス語では形容詞は名詞の後にくるので、AI(artificial intelligence.)ではなくIAとなります。
仏大統領自ら押し押し産業
「IA産業は、今後フランスの中心的な産業となることを推奨する」とマクロン大統領自身がアメリカのハイテクノロジー雑誌 « Wired »のインタビューに応えたように、人口知能産業は今や、フランスの新しい産業の座を勝ち取りつつあります。
積極的な政治的バックアップ
というわけで、マクロン大統領は今後5年間、IA産業に約1億5千万ユーロを追加、内4千万ユーロは、新技術プロジェクトバックアップのためという方針を発表しました。この数字は、すでに枠組み予算にあった10億ユーロの新技術改革予算とを合わせたものです。新大統領のIA産業に取り組む強い意気込みが感じられます。
マクロン大統領の音頭の下、テクノロジー産業に出遅れていたフランスは、近い将来世界的な「人工知能」産業国となるという大きな夢を打ち立てたのです。
フランスから見た日本の移民問題
この間、夜のテレビニュース、フランス2 (仏国営全国放送)を観ていたら、日本の移民問題が紹介されてちょっとびっくり。ちょうど夕飯時 (フランスでは夜8時) の最も視聴率の高い時間帯だったので、フランス人の日本に対する関心の高さ?を感じました。
日本:移民のいない国
大抵、フランスが日本に関心を示す場合は、日本独自の文化や日本の自然に対するものがほとんどなのですが、今回は少し視点が違っていました。日本の「移民いない現象」にフォーカスされていたのです。
さてFrance 2によると、日本で正式に永久移住を認められた難民件数は、たったの20件。フランスでは3万2千件。フランスの人口は、日本のほぼ半分という観点からすると、これは日本にとって少々恥ずかしい数字では?ということです。
知られざる日本の素顔:移民問題
当テレビ局は、さらに続けて「知られざる日本の素顔」として、一般に日本人は移民に対する強い脅迫心があり、国全体が見えない砦で囲まれている、というのです。そして、都内の公園らしき所が紹介されて、そこで輪になって踊るクルド人の難民グループの姿が映りだされました。そのグループを遠回しに眺めている日本人、その内の1人に記者が近づいて、「難民をどう思われますか?」という質問に対して、「日本は特別な国なので、文化の違う移民は受け入れにくいのでは?」という回答でした。
4年半の待機
別の例として、20年前に日本にきて、やっと帰化を認められた難民の体験が紹介されました。彼は日本に着いた最初の1年間は、特別収容所のような所に入れられて、まるで犯人扱いの対応を受けたショックが忘れられない、と答えていました。とにかく、4年半という長い期間の末、ようやく正式な難民帰化証明がおりて、今では彼はリサイクルセンターのパトロンとして立派に働いています。
どちらにしても、日本の移民政策は世界で最も厳しい国というイメージのようです。France 2は最後に、50年後には約3分の1の人口減少問題を抱ている日本、今後移民対策の緩和をが必要になってくるのでは、と閉めくくっていました。
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