先日、体調を崩して入院することがありました。健康だけが取り柄だと思っていたためにまさか体調を崩し、いきなり入院することになるとは夢にも思わず、怒涛の1週間(体調が悪いと感じた時期を加えると1ヵ月でしょうか)を過ごしましたので、これはその時の経験を紹介したいと思います。
ホームドクターから総合病院へ
最初はホームドクターで診断を受ける
ヨーロッパでは一般的ですが、こちらでは何かあった場合、まずホームドクターの診断を受けます。私はお腹に違和感を感じ、ホームドクターに行きました。そこで尿路感染症にかかっていることがわかりましたが、それ以外の事は何もわからず、とりあえず尿路感染症の薬だけもらって帰宅し、三日間薬を飲みました。しかし、薬を飲み終わっても腹痛は消えず、かといってホームドクターで検査をしてもらっても何の異常も見られず、そのまま2週間が過ぎたのです。
いきなりの発熱と下痢で総合病院へ
そうこうしているうちに、39度に近い発熱が起こりました。お腹も下しており、これはやはり何かがおかしいということでホームドクターに行き、血液検査の結果、肝臓に問題があるかもしれないということで総合病院で超音波検査を受けることになりました。しかし超音波検査でも何もわからず、再びホームドクターと相談することになったのです。
その2日後、ホームドクターからしっかりと検査を受けるため、総合病院で入院するようにと指示されました。その日の午後に総合病院に行き、CTと血液検査を受け、腸の周りのリンパ線が腫れている、甲状腺ホルモンにも問題がある、ということがわかりました。今までどんな検査をしても問題がないと言われていたため、やっと原因がわかってほっとしたと同時に、医者から「症状と高熱が続いていることを考えると入院した方が良い」と言われ、愕然とした記憶があります。
総合病院での入院生活とは
体調が悪いところに英語が通じず…!
私はオランダ語が話せませんが、夫が医師と相談したところ、病院では医者も看護師も英語も話せるから大丈夫だ、と言われました。しかし、病室に行って最初にやってきた看護師からは”Are you hurt?(どこか痛いの?)”と言われ、言語の問題だと思いながらもイラっとせざるをえませんでした。痛くなかったら、病院になんていませんよね。
翌日は看護師から、とにかく”You’re going to take pictures(あなたは写真を撮るのよ)”と言われ続け、何の事だろうと思っていたら、肺のレントゲンでした。このように検査のこともきちんと伝わっていないため、よくわからないまま検査に行くことが多かったです。
食事がとにかく喉を通らず…!
私は毎日38度後半から39度前半の熱が出ていました。熱が出る時には必ずものすごい寒気に襲われ、熱が上がり切るとパジャマを着替えなければならないほど汗をかき、常にその繰り返しでした。また、甲状腺が腫れているために食事が喉を通りませんでした。
しかも、その食事のメニューと言えば、朝食と夕食はシリアルか食パン2枚の選択肢で、シリアルと牛乳、食パンとバターにジャム、といった組み合わせしかありません。そこにコーヒーか紅茶がつきます。昼食は牛肉かチキンかなどといった選択肢もありましたが、基本的に蒸したジャガイモとオニオンスープ、カップに入った生野菜サラダにヨーグルトかムースのデザートが毎日出てくるだけで代わり映えもなく、私にとっては食欲をそそらないメニューでした。甲状腺が悪化したことによって嘔吐するようになり、入院3日目からは食事には一切手を付けませんでした。
日本なら、食事が取れないならどうする、ということがあるのだと思うのですが、こちらではそのようなものは一切なく、むしろ看護師さんが運んでくれた食事に一切手をつけなかったとしても、「食べたくないの?じゃぁ、下げるわね」といった感じで食事が下げられていきました。どうやら食事が取れない人のためにはその人用の飲み物があったらしく、夫が交渉したのですが、看護師さんから「わかった」と言われたものの、それを見たことは1度もありません。
家族がお見舞いに来てくれる時、りんごを切って持ってきてもらうようにしました。それでも1日あたり、2切れほど食べれば充分で、それ以外は家族が持ってきてくれるスポーツ飲料水などを飲んでしのいでいたように思います。ちなみに、初めて熱が出た時から退院するまでの2週間近くの間で体重は8キロ減りました。
ナースコールを呼んでも来ない
日本だと、ナースコールを押せばすぐに看護師さんが来てくれますよね。誰がナースコールを押しているのかすぐにわかりますから、その人本人のところに看護師さんが来る、というイメージがあります。しかしこちらでは、ナースコールを押すと病室の前のランプがつくだけなので、日本のドラマで見るようなナースコールの緊迫感はありません。それに気づいた看護師さんがやっとくる、といった感じですが、そもそもくるまでにも時間がかかり、30分たっても看護師さんが来ない、ということも珍しくありませんでした。初めて吐き気を覚えた時にナースコールを押したのですが、看護師さんが来ず、看護師さんが来たのは吐いた後でした笑
また、部屋の前のランプがつくだけですから、看護師さんにとっては病室の中の誰がナースコールを押したのか分かりません。そのため、夜中であっても「誰がナースコールを押したの?」と聞かなければならず、人によっては遠慮なく部屋の電気をつけましたので、それだけでも目が覚めてしまいました。さらに私は2人部屋の窓際にいたため、私がナースコールを押して看護師さんを呼んでも、入り口側にいる患者さんが看護師さんに話しかけてしまい、看護師さんに来てもらえなかったこともあります。元気ならば何の問題もないのですが、明らかに熱が高く、薬を投与してほしいと思っているときにそのようなことが起こると、もう怒りも湧きません。
日本の平均寿命が高いのは、日本の医療制度のみならず、病院のサービス精神が高いからではないのか、と感じました。
融通がきくのは良いけれど
面会等などのルールが甘い
一応、面会時間は1人部屋ならば午前9時から午後8時まで、2人部屋ならば午後2時から午後8時まで、と決まっていました。しかし、日本ならば暗黙の了解で、大人数が病室に行ったりはしませんし、長居はしない、などというルールがありますよね。
私の最初の同部屋の患者さんは60代ほどの女性でしたが、なぜ入院しているのかわからないほどとにかく元気で、毎日のように家族や友達に電話をかけ、自分の病状を説明していました。そして家族や友達が毎日のように面会に来て、5人も6人もの面会者が彼女のベッドを取り囲んでいました。8時を過ぎても長話をしていることもあり、正直ストレスでした。日本ならばそもそも病室で電話はかけませんし、そこまで大人数の面会者が何時間も病室に座るなんて、ありえないですよね。
病室に置かれたテレビとラジオ
こちらには部屋に1台テレビがあり、日本のようにそれぞれにテレビがあってイヤホンで音を聞く、などという事はありません。誰かがテレビをつければ部屋中にテレビの音が響き渡りますし、角ベットにはラジオの機能までありました。誰かがラジオをつければ、同部屋の人まで強制的にそのラジオの音を聞かなければいけないのです。
その同部屋の女性はテレビも大好きでしたし、ラジオも大好きでした。ラジオをつけたまま眠ってしまうこともあり、さすがにそれは「ラジオを消してほしい」とお願いしました。自分の症状ばかり主張するつもりはありませんが、39度まで熱が上がる患者が部屋にいる状態で、面会する人の人数や時間、テレビなどの音量を全く気にしない病院側もいかがなものかと思うのです。
とにかく話をしたいお年寄り
最初の同部屋の患者さんは数日で退院していきましたが、次に80代から90代ほどの女性がやってきました。面会に来る人といえばご主人くらいで、そのご主人も丁寧な人でしたから、迷惑だと思った事はありません。しかし、やはり誰かと話したくて仕方が無いのか、とにかくよく話しかけられました。
私はと言えば、眠れるときには少しでも横になり、さっさと退院したいと思っていましたので、彼女の身の上話を聞く気には到底ならず、私のことを聞かれても話す気にはなりませんでした。申し訳ないと思いながら、カーテンを閉め、寝たふりをしたこともたくさんあります。大人数の部屋では何かとストレスが溜まると言われていますが、本当だなぁと感じました。
日本とは全然違う入院生活に唖然
よく、入院していたというと「病気は大変だけど少なからずその期間はしっかり休めたんじゃない?」などと前向きに捉えてくれる人がいます。しかし、こちらでの入院生活を思い起こすと、食事、ナースコール、同部屋の人の様子など、とにかくストレスにしかならなかったように思います。
もちろん、例えば週末、回診に来る医者と話がしたいからと夫が面会時間よりも早い、午前中に来ても良いか、と看護師に相談すれば、「問題ないですよ」と臨機応変な返事がいただけます。それはそれでありがたいことではあるのですが、だからこそ、全てにルーズな気がしました。個人的には、二度と入院はしたくないです。
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