日本で葬儀に参列するとなると、喪服やお香典など、様々なことを考えなければいけませんよね。宗教といった問題もありますので、香典袋はどうしよう、数珠はどうしよう、などと思う人もいるかもしれません。それならば海外の葬儀は一体どうなのでしょうか。最近、ベルギー人である夫の親戚で不幸があり、葬儀に参列する機会がありました。ここでは私がベルギーで経験した葬儀について紹介します。もしも海外で葬儀に参列しなければならないということがあるならば、参考にしてもらえたらと思います。
基本的なマナーについて
洋服
葬儀があると聞いたとき、私が真っ先にどうしようと思ったのは洋服でした。その時私たちは休暇でベルギーに来ていましたので、喪服のようなものは持っておらず、きちんとしたスーツなども持ち合わせていなかったのです。
しかし、洋服は気にしなくても大丈夫だと言われました。最終的に私は黒いTシャツとジーパンで葬儀に行きましたが、親戚の中にもTシャツやジーパンの人はたくさんおり、むしろスーツを着ていたのは身近な家族のみでした。「私が主役」と言わんばかりの洋服でなければ問題はないようです。ただし、女性はスカートやワンピースの人が多い印象も受けました。
お香典と数珠
お香典というのはあくまでも仏教のものですので、基本的にキリスト教式の葬儀では関係ありません。もちろん、日本国内でキリスト教式の葬儀をする場合は御花料としてお金を持っていくことがありますが、海外ではそのような事はありません。
また、当然ながら数珠も必要ありません。キリスト教の葬儀に慣れていないと、例えば十字架を持っていかなければいけないのか、などと考えてしまう人もいるかもしれませんが、特に何かを持っていかなければいけないという事は無いのです。
故人と挨拶を
葬儀に行ったら、故人と必ず挨拶をしましょう。場合によっては言葉が通じないこともあるかもしれません。私は夫側の親戚は基本的にオランダ語を話しますが、私はオランダ語は分かりませんし、彼らも英語はおそらく通じるけれど英語で話すことができない、という状態ですので会話はほとんどできません。
しかし、今回亡くなったのは私自身もお世話になったことがある人だったため、故人のパートナーや両親などと握手とハグをし、気持ちを共有することができたと思います。言葉が通じなくても、気持ちが通じれば良いのだと思います。
宗教の問題
「キリスト教だからこれは無理、あれは無理」…?
私が日本にいた時、キリスト教の友人らから「私はキリスト教だから仏教のお葬式に行ったときにはお焼香はしない」「私はキリスト教だから遺体に向かって一礼はしない」「私はキリスト教だからそもそも仏教のお葬式には参列しない」などと言われたことがあります。正直、私はあっけにとられて何も言い返すことができませんでした。
私自身もキリスト教です。しかし、葬儀は故人や遺族のためのものですから、相手の宗教に合わせるようにしています。宗教に関しては様々な考え方がありますが、少なくとも私は宗教が違うからという理由で葬儀のやり方に従わないのはなんとなく違和感があります。
相手のやり方に従う
今回の葬儀はあくまでもキリスト教のものでしたが、私は参列者全員がキリスト教徒ではなかったと思っています。少なくともうちの夫は基本的に無神論者ですし、キリスト教の中にも色々な宗派がありますよね。
キリスト教の葬儀では、神父様や牧師様の話を聞き、故人の友人が故人の生前の話をするスタイルが一般的のように思います。仏教の場合、最後に1人ずつお焼香をして会場から出て行きますよね。今回の葬儀では最後に1人ずつ十字を切る形で棺に聖水をかけました。「私はキリスト教ではないので」などという理由でそのやり方に従わない人は1人もいませんでした。
宗教による違い
もしも日本人が外国の葬儀に参列するとなれば、その国でメインとなっている宗教に従わなければいけないということもあるでしょう。自分の宗教と違うから戸惑いがある、あるいは自分は宗教が違うにもかかわらずそのやり方に従っても良いのかわからない、などという場合は事前に確認しておくと良いと思います。
宗教によっては、信者以外がその行為をすると嫌がる場合もあります。ですから、もしも全く違う宗教の葬儀に参列する機会などがあった場合は家族に確認をしておきましょう。例えば葬儀ではありませんが、キリストの最後の晩餐に由来するものとして教会では聖餐式/聖体拝領などと呼ばれる儀式があります。パンやぶどうジュース(或いはワイン)をキリストの肉と血としていただく儀式ですが、これは信者のみが参加できる儀式です。また、プロテスタントの聖餐式にはカトリックの信者の参加が許される場合もありますが、カトリックの聖体拝領にはプロテスタントの信者の参加は許されない場合もあります(これはあくまでも例であり、教会や宗派によって異なります)。
故人のプロフィールが書かれたカード
故人を忘れないために
会場を出たら、今度は1人ずつ故人の写真やプロフィールが掲載されたカードを貰います。どうぞこの人を忘れないでください、という意味が込められています。今回の葬儀で受け取ったのはカラーの華やか過ぎないデザインのものでしたが、最近はこのように比較的地味なデザインが増えてきているそうです。
カードのコレクターがいた!?
実はこのようなカードはかつてはエンボス細工が施してあったりなど、非常に豪華にできていたそうです。しかし、あまりにもカードが華やかであるということで、この故人のカードを集める人が出てきてしまったそうなのです。
そのため、このような人は見ず知らずの人の葬儀に潜り込み、カードを受け取り、そのカードを集めていたそうです。このような問題を防ぐため、最近のカードは華やかな細工をせず、シンプルなスタイルになっていたそうです。
事前に確認をしておこう!
宗教のことだけではなく、海外で葬儀に参列するとなった場合は周りの人に確認をしておくと良いと思います。私も夫や義父に洋服等について確認しました。また、その時8ヶ月になる息子がいましたので、こんな幼い息子を連れて葬儀に参列しても良いのかどうかもわからず、それについても聞きました。そして、葬儀の最中に泣き出してしまったら外に連れ出せば良いからと言わたので(そしてもちろん息子が泣き出してしまったため、ほとんどの間、会場の外にいたのですが!)安心して息子を連れて行くことができました。何事も事前に確認すれば恥をかくこともありませんし、失礼なことをする心配もありません。
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