中国、北京在住です。この地で妊娠し、先日長男を出産しました。長男が生まれる前、長男の保険をどうするかということを話し合った結果、私と長男が保険に入ることになり、やっと審査が下りました。ここでは、私と長男が保険に入るまでの過程についてお話したいと思います。
中国は日本のような皆保険国家ではない!
夫が入っている保険
これは中国に限ったことではなく、実際は海外に暮らす多くの人が感じていることではないかと思います。中国は日本のような皆保険国家ではないため、国民全員が保険を持っているというわけではありません。同時に、保険が当たり前の国でもないのです。
また、日本では基本的に旦那さんが所属している会社などがその家族全体の保険の面倒を見る、というあり方が一般的です。しかし私と夫が北京に来た時、夫は夫が所属する大学によって保険に入ることができましたが、大学からは「家族は保険に入れない」と言われました。また、夫の保険も医学部があるわけではない大学の敷地内にある病院だけで通用するものですから、この病院にかかるならば保険適用ですが、万が一骨折をしたり、手術を伴うような病気になって他の病院にかかったりした場合、多少大学から手当てが出されるようですが、保険は適用されません。
私は保険に入らなかった
そんなこんなで、私は最初、保険に入りませんでした。また、周りの人に聞いてみても「中国の保険は風邪などの簡単な症状の時しか使えない」「或いは骨折したり手術したりなど、重症の時しか使えない」などと言われており、私自身、日本では滅多に病院に行くことがなかったため、そもそもそのような保険に入るメリットが感じられなかったからです。
中国は日本から近いということ、そして何かあれば日本に帰れば良いという安心感があることから、私は中国に来て2年以上保険に入りませんでした。そのかわり日本に一時帰国したときには薬を買い込み、中国では階段から落ちたり、料理の時に指を切り落としたりすることがないよう最新の注意を払ったものです。
妊娠を機に保険について考える
子供の保険は必要
そんな中、ここ北京で妊娠し、子供の保険について考えるようになりました。何かあったときに躊躇なく病院に通えるようにするためにも、子供が保険に入らないというわけにはいきません。しかし、我が子が保険に入るからにはその保険がどのようなものなのかしっかり吟味し、いざというときに困らないようにしておく必要がありました。
また、夫からは私も絶対保険にいれると言われました。特に産後は何が起こるかわかりませんし、子供の為にも健康でいなければいけません。そのため、夫からは子供が生まれたら、私と子供、2人合わせて保険にいれると言われたのです。
言語の問題
これは海外で暮らす限り常についてくる問題ですが、私たちには言語の問題がありました。確かに中国には様々な保険がありますが、保険という専門用語が含まれる分野を考えると、私たちには「英語が通じる保険」ではなく、「英語で問題がない保険」が必要でした。
妊娠中期のこの頃、ちょうど私たちは様々な言語の問題を抱えていました。インターナショナルと名の付く病院で、「英語が話せる」として紹介された中国人医師は英語で診察ができなかったり、「外国人医師だから英語は問題ない」として紹介されたフランス人医師はフランス語しか話せなかったりと、私たちは「英語が話せる」ということにはかなり懐疑的になっていたのです。そのため、保険に関しても「英語が通じる保険」なんか信用できないと思っていました。
病院からの紹介
0歳児が受ける予防接種について考えていた時、病院のカスタマーサービスで働くフィンランドの人と話す機会があり、その人から外国人が多く購入する保険を2つ教えてもらいました。それらは英語が通じる保険ではなく英語で問題のない保険であり、連絡先として教えられた保険会社の営業担当者は西洋人でした。
2つの保険の担当者に夫が直接連絡を取り、夫も「実際に話してみて決める」と言っていました。返信が来るスピードなども含め、夫がそのうちの1つを選び、その保険会社の担当者と直接会うことになったのです。その人はオーストリア人であり、夫が電話やメールで連絡を取った限りでは英語は何の問題もなく、返信も早く、信用できるとの事でした。
保険に加入
打ち合わせ
妊娠後期に入ってから、その担当者が自宅付近まで来てくれ、夫と3人で話し合いをしました。私自身も疑問に思っていたことを立て続けに聞き、納得のいく答えをもらいました。また、何かあった場合はこの男性に連絡をすればすぐに対応してもらえるという安心感もあり、そこの保険に入ることに決めたのです。
選択肢は2つほどありました。値段は私と長男合わせて28,000元(約476,000円)のものと36,000元(約612,000円)です。28,000元のもので十分カバーされると思っていたため、夫とはそれにしようかと考えていました。また、正直、私の中では36,000元は高すぎるとも感じていましたが…
いきなりの変更
中国では、なぜか「契約が変わった」「プロセスが変わった」などという変更が頻繁に行われます。極端な話、契約書の内容さえも簡単に変わり、ある日いきなり寝耳に水の話を聞かされることだって日常茶飯事です。この保険も、実は同じことがありました。
28,000元の保険に別のオプションが出来上がり、ほとんど同じ内容がカバーされているにもかかわらず21,000元(約357,000円)の保険が出来上がったと連絡があったのです。ほとんど同じ内容でしたから、夫とは安く購入できるならばそれでも良いのではないかと話していました。
しかし、数週間後にまた担当者から連絡があり、21,000元の保険に入るためには、私自身、産後の検診で何の問題もないことが証明されなければならないとのことでした。北京では出産後、42日後、つまり6週間後に産後の検診を受けます。その時に何の問題もなければその保険に入れるとの事だったのです。また、私がこの審査に通るまで長男も保険には入れないと言われました。これは担当者の責任ではなく、あくまでも保険会社側の都合でした。
変更が多いものは選ばない方が良い
42日後の検診にクリアしなければその保険には入れないという連絡を受けたのは、産後3週間の時でした。体は徐々に元気になっていましたから問題はないだろうと思いましたが、私は妊娠中に妊娠糖尿病の傾向があると言われていましたから、尚更「産後の検診で問題がなければ保険に入れる」というのはかなりのプレッシャーがありました。
また、夫も職場などで様々な「直前の変更」を経験しており、「頻繁に変更されるものは選ばない方が良い」「頻繁に変更されるものは今後も変更される可能性がある」と言っていました。そのため、私たちは28,000元の保険を選ぶことにしたのです。安物買いの銭失いには絶対になりたくないと思いました。
少なくとも保険があれば歯医者など特殊なもの以外は全てカバーされますので、もしも長男が熱を出したりしても、安心して病院にかかることができます。今後長男が予防接種等でお世話になる病院は長男が生まれた病院ですが、仮に長男に何かあり、最寄りの病院に行ったとしても保険が通用します。
私もその担当者の男性に最寄りの病院の名前を挙げ、その病院でも保険が適用されることを確認しました。中国は人によっていうことが違うことがありますから、いざ最寄りの病院に行き、万が一、受付の人から「この保険はうちでは使えません」などと言われたとしても、保険会社に連絡をすればきちんと対応してもらえるということも確認しました。
先日、私と長男の保険の申請が降り、私たちは無事保険に入れることになりました。今朝夫が支払いをし、これで一安心です。もちろん、いくら保険に入っているからとは言え病院にはできる限りかかりたくないですが、やはり保険に入っていると安心です。
一時帰国の場合の保険
海外に住む日本人ならば多かれ少なかれ感じたことがあると思いますが、海外在住で日本の住民票を抜いている場合、日本に一時帰国するときには基本的に保険がありません。国民健康保険は転入届を出さなければ入ることができませんし、市町村によっては半年や1年など、一定の期間日本に滞在しない限りは転入届を受け付けない、という場合があります。つまり、転入届を受け付けてもらえなければ自分の国に帰っているにもかかわらず、国の保険に入ることができないのです。
また、海外旅行保険に入ろうと思っても、日本の海外旅行保険は日本を出発して日本に帰る場合にのみ有効のものばかりで、基本的には海外から日本に行き、海外に戻る場合は適用しないのです。他の国の海外旅行保険では自分の国に帰る場合は適用外、ということも少なくありません。そのため、中国に住む私と夫が日本に行く時、ドイツ人の夫ならば海外旅行保険に入れるのですが、日本人の私は海外旅行保険に入れない、ということが起こるのです。
幸い、アメリカの保険会社で自分の国に帰る場合も適用される保険を見つけたので、私たちが日本に行くときにはいつもそれを利用しています。また、私の本籍地は短期の滞在であっても転入届を受け入れてくれるため、今度長男を連れて日本に戻る時はまだ乳児である長男のことも考え、転入届を出すつもりです。
保険はとても複雑なので滞在国の状況や、帰国した際の日本の状況も前もって調べておくことが重要だと思います!
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