ベルギー国籍を持つ夫と結婚し、今は海外在住です。今回は、私が経験したことや、同じく国際結婚をしてきた友人の話から感じる、日本国籍以外を持つ人と結婚したことによる大変なことを紹介したいと思います。
周りから結婚を反対される可能性がある!?
見ず知らずの国に対する不安
日本国籍以外の人と結婚する場合、国籍を巡って家族や親戚から反対されることがあります。大きな理由の1つは、相手の国のことがよくわからないからと言う不安のようです。私は夫の国籍故の反対はありませんでした。しかし、痴呆症を患っている私の祖母は、ベルギーとベトナムの違いがわからずに不安がっていたようです。また、特にアフリカや南米、日本以外のアジア出身の人と結婚した友人たちの話を聞くと、やはり治安の良くない国だから、どんな育ちをしてきた人か分からないから、などと言う理由により、反対されることもあるそうです。
子どもが遠くに行ってしまう不安
特に娘が外国籍の人と結婚しようとすれば、そのまま遠くの国に行ってしまうということが不安で、反対する家族や親戚もいるそうです。多くの場合、結婚すれば女性が引っ越しをして男性の所に行きますので、男性がもし海外に住んでいれば、女性も海外に行くことになります。最近は「子供は親の老後の面倒を見るべき」などと言う風潮も以前ほど強くはなくなりましたが、それでもやはり子供が遠くに行ってしまう、海を越えてどこかに行ってしまうと言うことに関しては嫌がる人も多いようです。
名字が外国の名字になる大変さ
なかなか伝わらない
日本では夫婦別姓が認められていませんが、国際結婚の場合は基本的に夫婦別姓です。国際結婚で名字を揃えたい場合は、改姓届を提出しなければなりません。私個人は夫婦別姓には賛成でも反対でもないので結婚前はいろいろ悩みましたが、最終的には夫と名字を揃えることにしました。外国の名字を手に入れて思うことは、電話などで名字を伝えるとき、とにかく厄介です。例えば、ホワイトやグリーンなど日本人にも聞き慣れた名前ならばそこまで問題は無いのかもしれませんが、私たちの名字はそうでもないため、例えば電話で予約などをする時、名前を述べてもまず通じません。そのため、必要に応じて旧姓を使っています。一度適当な名字を使ったことがあったのですが、やはり適当な名字はすぐに思い出せずに苦労をしたので、旧姓を使うようにしています。
よく表記を間違えられる
なんせ日本では聞き慣れない名字を使っているため、何かに登録した時などはカタカナ表記が間違っていると言うことがよくあります。これは国際結婚をした人にはよくあることのようです。仕方がないと言えば仕方がないのですが、何度も繰り返されると不愉快な気分にもなります。特に年賀状の宛先として書かれた表記が間違っていることもあり、これは本当に毎年本人に話しても、なかなか直りません。最近はもういいや、と割り切っています。
パスポートの取得に苦労をする
名字がヘボン式にならない故の問題
私は結婚してからすぐに、新しい名字でのパスポートを取得しました。しかし、名字のアルファベット表記がヘボン式にならないため、新しい名字のアルファベット表記を証明する必要がありました。例えばホワイトという名字ならば、本来はWhiteなのに日本はヘボン式なのでHowaitoと表記されてしまいます。そのため、Whiteであると証明をしなければならないのです。
証明する方法
その証明をするために、夫のパスポートを提示するよう言われました。しかし、当時夫はイギリスで仕事をしていたため日本におらず、夫のパスポートの提示は不可能でした。そのことを話すと「それならパスポートを郵送してもらって下さい」と言われました。国際郵便は紛失の可能性も高いため、パスポートのような大切なものを海外に郵送するなど考えられないことです。そのように話したら、「それならパスポートの取得はできません」と言われました。
主人の出生届で代用
その時は婚姻届を出した直後であり、婚姻届記載事項証明書(婚姻届と共に提出したすべての書類のコピーに、市町村役場の印鑑が押されたもの)が手元にありました。その中には主人の出生証明書があり、出生証明書にはもちろん主人の名字が書かれています。受付の人に出生証明書でも良いかと聞いたら、原本を持ってきて下さいと言われました。原本は婚姻届と共に提出したため、婚姻届記載事項証明書として手元にあると話したところ、コピーではダメだと言われました。婚姻記載事項証明書は、そのあと外務省に提出し、日本国政府の認証を受けることができる正式な書類です。担当者に「国が受け付ける正式書類なのに、県は受け付けてくれないのですか」と食い下がったところ、3人ほどで話し合いがなされ、その結果、それでも良いと言われました。
言語の問題
しかし、出生届には1つ問題がありました。夫の国籍がベルギーのため、出生届はもちろんオランダ語なのです。「出生届はオランダ語で書かれているけれど、原語ですからそれで問題ありませんね?」と話したところ、日本語で発行された出生証明書を持ってきて下さいと言われました。一体、日本以外のどこの国が日本語の出生証明書を発行するのでしょうか。もうこの頃には私もだいぶ疲れており、「ベルギーが日本語で出生証明書を発行すると思いますか?」と聞いてしまいました。その結果、出生証明書の日本語訳を持参するということで、話がまとまりました。
「パスポートにおける名字を旧姓に戻しません」と一筆書かされる
私は既に夫の名字に改姓していましたのでこれは未だに謎なのですが、パスポートを申請する前に、「パスポートにおける名字を旧姓に戻さないと誓います」とありきたりな便箋に一筆書かされました。何度も言いますが、そもそも私は「改姓」していますので、旧姓は私の本当の名字ではないと言うことになります。だから、旧姓でパスポートが取れるはずがないのです。これは結婚して名字を変えたすべての人に共通することだと思います。それなのに、国際結婚であるからと言うことで一筆書かされました。これは未だに意味がわかりませんし、もしかして、私がパスポートを申請した県だけのことかもしれませんが、もしも本当にこの誓いが必要であるならば、名字を変えたすべての人に一筆書かせるべきだと思います。国際結婚の場合のみこの誓いが必要になるならば、それはむしろ国際結婚への差別だとさえ思います。
多少の壁はレクリエーション
パスポートの申請をする際は、一度家に帰って主人の出生証明書を訳す必要がありましたので、半日かかってしまい、人生で初めて本当にパスポートが取れないかもしれないと不安になったことを覚えています。しかし、考えてみれば免許証も保険証も日本国内の身分証明書は全てカタカナ表記となっており、アルファベット表記を証明する身分証明書はパスポートしかないのですね… 国際結婚には様々な障壁や苦労があります。しかし、やはり結婚で1番大切なことは、この人と一緒に人生を歩みたいと思う人と一緒になることですから、多少の障壁や苦労は多少のレクリエーションとでも捉えて簡単に乗り越えられる位の力がないと、そもそも結婚生活自体が不可能だと思っています。
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