旅をしていて、これもしかして差別?って瞬間にあったことありますか?旅好きの方ならもちろんそういう場面に出くわした経験、いくつかあると思います。60カ国旅した私も色々ありましたが、オーストラリアのゴールドコーストで歩道を歩いていたら、猛スピードで通った車の中から、卵が飛んできて危なく当たってケガをするところだったこともあります。でもこういうのは、私がアジア人だからなのか、女だからなのか、特に意味がないのか、本当のところはわかりません。でも中には、明らかなものもあります。そこで今回は、アイスランドでの出来事をご紹介します。
差別について
アイスランドの民族構成は、91%がアイスランド人、4%がポーランド人、5%がその他です。島国で、他のどの国よりも離れた位置にあるためか、ドイツやイタリア、フランスなどのヨーロッパの国と比べて移民の比率が極端に少なく、アジア人もほとんど見かけません。世界中で見かける中国人でさえ、アイスランド住在の方は少ないと思います。基本的にアイスランドの住環境は良く、水道水も無料という驚異的な国です。自然が多くてとても広々としていますし、ストレスを感じにくい環境であることは間違いありません。
差別はどこにでもある
そんな国で私が経験したこと、それがアジア人差別。正直言って、アイスランドだけでなく、どこでもあることだし、日本人だって外国人を差別していますよね。お互い様です。もちろん差別のない世界が理想ですが、簡単に無くなるものではないのが現実ですね。しかも差別は、南アメリカのアパルトヘイトやアメリカの黒人差別のように明らかなものから、自分が気づかずに相手を差別している、または何だかよくわかっていないなんてこともあると思います。
マイノリティであることが差別に繋がりやすい?!
例えば、イギリスに住んでいた際に、ある農家で農作業のボランティアをしたときがあったのですが、その時のママが、イギリス人は差別しない、って言っていたことをよく覚えています。イギリス人に向かって、イギリス人は差別する、なんて面と向かって言えませんでしたが、多分このママはイギリス人としてイギリスにいるから、差別された経験がないんですよね。知らない、わからないだけ。特に大きな意味はなかったと思いますが、やはり外国人などマイノリティが差別を受ける可能性が高いということだと思います。
アイスランドでの3つの出来事
それで、アイスランドの話に戻りますが、3つ起こったことがあります。
ある歌
1つ目は、母親と父親の家族3人で街を歩いていた時のこと。年末年始の休暇で訪れたアイスランドは、ものすごく寒かったので、分厚いジャンパーを着て全身肌を隠した状態で、3人で昔あった楽しい話をして思い出し笑いをしていたところです。すると、前から2人のアイスランド人男性が歩いてきました。ブロンドヘアで、コバルトブルー色の目。かっこいいコートを着ているからでしょうか、2人共なかなかのイケメン。その2人が私たち家族の横を通った瞬間、「チロチロティンティンタンタンターン」と歌を口ずさんだのです。明らかに知っている曲。日本人ならすぐに何の歌かピンとくるはず。そう、中国に関連する音楽です。東アジア人ルックスだから中国人と見えたのか、それともアジアは全て中国の領土だと思っているのか、日本人と知っていたけど、とりあえずアジア系の御歌を披露したかったのか、本心は彼にしかわかりませんが、歌われた方はいい気分にはなりませんね。もちろん3人でいたので、その後、「むかつく」と言ってすぐに昔の話に戻りましたが、それでも不快になるような態度で馬鹿にしたように歌われると、やはり笑ってはいられませんでした。
よく聞かれること
2つ目は、何度も聞かれた質問があります。全く同じ質問で、最もシンプルな質問の1つ。”Are you Chinese?”または「ニーハオ!」です。中国人ですか?または中国語でこんにちは!と聞かれた日本人の方、どれだけいるでしょうか。個人旅をしてこの状況に合ったことのない方の方が少ないかもしれません。アイスランドでも変わり映えのない同じ現象。もうこれは、どうしようもないっていうか、私は日本語でこんにちはと返しています。ほとんどの人は悪気はないと思いますので。悪気がありそうな人だけは、無視したり、英語でちょっと文句を言います。でも文句を言うと、暇な人はダラダラと言い返してくるので、後は速攻無視。何も生み出さない会話には、首を突っ込まないようにしています。
レストランで
3つ目は、レストランでの出来事。父親が地球の歩き方をいつものようにカバンから取り出し、今夜行きたいレストランを探し出しました。大体、その国独特の伝統食や人気食を食べたがるので、今夜はバッファローの丸焼きかなぁ、なんて考えていました。案の定、アイスランド人にも人気のアイスランド料理。主に、お肉、お魚を豪快に焼いたものや自然の恵みを生かしたお料理です。アイスランドの料理はなかなかおいしいですね。肉厚があって、無理にソースも使っていないので、どれだけ元々の原材料が良いかわかると思います。夜7時頃、透き通るような空気と星空の下で車を走らせて、ホテルから街中のレストランへ向かいます。レストランは、木を基調とした伝統的な作りをしていて、なかなかいい雰囲気。入口から入ると、中にはチラホラお客さんの姿が。1階と2階があるのですが、1階はまだ空いているのに2階へ通されました。2階は屋根裏部屋のような雰囲気で悪くはありませんが、ちょっと暗くてほとんどウェイターが来ないような感じ。食事をオーダーしているうちに、他にもアジア人家族とカップルがそれぞれ近くのテーブルにつきます。このレストランはアジア人に人気なのか。そう考えているうちにお料理が運ばれてきて、いつもの通り家族団欒良い時間を過ごします。そして食事が終わって、支払いを済ませ、1階へ降りてみると。。。えっ!全テーブルに白人白人白人。が埋まっていて、ライトも明るくて素敵な雰囲気。予約の都合があったとしても、アジア人3組とも2階で、他全員白人が1階なんていう偶然はあり得ない。これはやられたと私はすぐに思いました。相当な不快感。家族との素敵な旅にしたかったのに、なぜ1階に座れなかったのか。なぜアジア人が固められたのか。文句を言いたかったけど、すでに食事を終えた後だったし、もういいや、という気持ちでしたが、こんなことは初めてだったので、もうこんな不条理なレストランには来てやらない!という気持ちでいっぱいでした。
理想の世界を目指して
差別は消えないのが現実。でも、無い方がいいに決まっています。差別を受ける方は、本当につらいし嫌な気持ちになりますよね。アジア人でも何人でも国籍も民族も関係ない。人間として生まれたならそれでいい。大きな心でお互いを尊重し合える社会を作っていければいいな、と日々心から願っています。
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